ここまでのあらすじ
1.最近出た書籍のキュケオーン(魔女の麦粥)のレシピはどうやって再現されたの? → 古代ギリシア・ローマの料理とレシピに掲載されている記事より、実在した「カルタゴの小麦粥レシピ」をキュケオーンとして紹介している。
2.オデュッセイアの文面を参考に、『大麦』を使って料理を再現するとどういう料理になるの?
3.その他のメモはタグ「キュケオーン」を参照
Barley Waterなキュケオーン
「キュケオーンの再現レシピ(大麦版)」で説明した通り、ヒポクラテス著「養生法 Ⅱ」では「大麦粉に水またはミルクを加えた飲料(+α)」がキュケオンであると紹介されていました。
この項目では、現代でも飲まれている「大麦ドリンク」のバリエーションについて、ナイスなブログを見つけたので拝みながらご紹介します(ありがてぇー!!)
sekainonomimono さんの「 アメリカで見つけた世界の飲み物(主にジュースとお茶。たまにお酒も)のレビューブログ」です。
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せかいののみもの 世界の飲み物
世界の飲み物・数百円の世界旅行!主にアメリカで見つけた世界の飲み物のへっぽこレビューです。
Robinson’s Barley water イギリスの麦ドリンク レモン味
http://blog.livedoor.jp/sekainonomimono/archives/65582364.html
Robinsons Lemon Barley Water (850ml) ロビンソンレモン大麦水( 850ミリリットル)
これが一番「養生法 Ⅱ」の「キュケオン」に近そうな気がします。
イギリス等でメジャーな飲み物のようです。
「大麦の粉を使っている」「脱穀した麦を煮出したものに、主にレモンなどの果汁を加えて作る」「ウィンブルドンの公式ドリンク」という説明からするに、別項目で紹介した外国のブログ記事(麦水ドリンクレシピ)の説明に書かれていたのはコレのようです。
「大麦粉が入っているからか粉っぽい」というのも興味深いです。くわしい味の感想はリンク先にて。
アマゾンの値段見たら「¥ 1,799 + ¥ 2,399(送)」となっていたので本国取寄せになるようですぐぬぬ。探せば何処かにありそうですがどこだろう…コストコとか…?
Orzo Pupo イタリアの麦茶 オルゾ
http://blog.livedoor.jp/sekainonomimono/archives/65557491.html
別メーカーの画像ですが、現在呼び出せるのがこれしかなかった…
イタリアン大麦飲料 オルゾ(ORZO)・モンド・BIO 500g お徳用パッケージ
別項目でも日本の健康食品店が取り扱っているオルゾを紹介しましたが、複数メーカーから出ているようです。本当にメジャーな飲み物なんですね。イタリアで有名な飲み物のようです。
「オルゾとは焙煎した大麦で作られたコーヒーに似たホットドリンク。さしずめ大麦コーヒーといったところでしょうか。」
麦茶よりも炒ってあって後味はコーヒーに近いそうです。
砕いた麦という説明と、「Orzo Pupo」で検索すると出てくるパッケージの雰囲気からして、コーヒー豆と同程度に砕いた麦(粉までは行かない)を煮出して作る麦ドリンクです。
とか書いてたらいいタイミングで「世界のKitchen」からオルゾを元にしたペットボトル飲料が発売されて麦茶吹いた。ナイスタイミング。
Emoliente ペルーの麦茶 エモリエンテ
http://blog.livedoor.jp/sekainonomimono/archives/65564309.html
ぐぐったらレシピ動画出てきたので、下手に説明するより早そうなので貼っときます。
短い動画
長い動画
ペルーでは有名な「炒った大麦」と「ハーブ類」を煮出して作る薬膳系の飲み物のようです。
健康に良い飲み物として大麦の煮汁が浸透しているのが興味深いです。
日本語でもうちょっと突っ込んだ記事があったのでご紹介します。
薬草エキスがたんまり!心も体も温まるペルーのホットドリンク:エモリエンテ
唐突ですが、「エモリエンテ」って聞いたことありますか?!
私はペルーにくるまで、まったく知りませんでした。
が、これもペルーにきたらぜひ試してもらいたいもののひとつ!!
ということで、紹介していきます
屋台での購入の仕方や、ボトル入り市販品について書かれています。
あと日本アマゾン探したら、ドリンクは無かったですが自分で作るスパイスセットは売ってました。
エモリエンテ(乾燥大麦、アマニ、ボルドー、キャッツクロ―)100g ペルーシェフ
「乾燥大麦」わかる「アマニ」きいたことある「ボルドー、キャッツクロ―」まったくわからん。
世の中には全くわからないものがまだまだある…。
海外の白い麦茶? 大麦飲料バーリーウォーターとは?
前の記事で「日本語だと麦水について扱っている記事が見つからなかった」と言いましたがあれは嘘だ(すみません)検索単語替えたら出てきました。
株式会社はくばくの「大麦百科/海外の白い麦茶? 大麦飲料バーリーウォーターとは?」のページです。
※「大麦百科」は一部ブラウザだと読み込めなかったのでリンクが反応しない場合はブラウザを変えてください。
下記引用元
https://www.hakubaku.co.jp/omugi-lab/hyakka/barleywater/
海外の白い麦茶? 大麦飲料バーリーウォーターとは?
2018年03月22日
バーリーウォーターは、シンガポールの国民的飲料
炒った大麦を湯で煮出して飲む麦茶。健康効果も期待できることから、近年とくに注目されています。
じつは、海外にも大麦を使った飲料があります。「バーリーウォーター」といわれているもので、シンガポールでは国民的な飲物。家庭でも作りますが、スーパーなどではペットボトルで売られていて、飲食店やフードコートなどのメニューにもごく普通にあるそうです。
大麦をお湯で煮出した乳白色の飲みもの
では、シンガポールで飲まれているバーリーウォーターはどのようなものなのでしょうか? 日本の麦茶とは異なり、焙煎した大麦ではなく搗精した大麦を使うため白色をしています。水に大麦を入れて火にかけ弱火でコトコトと煮出しますが、そのときに加えるハーブ「パンダンリーフ」と、甘味づけに使う「糖冬瓜」が味の決め手。
「大麦の粒もグラスに注いでいただくようです」とあります。別ページで引用した写真はこのタイプだったようです。
イギリスのバーリーウォーターはさわやかなレモン味
イギリスにもバーリーウォーターがあります。シンガポールのものと作り方は似ていますが、「パンダンリーフ」ではなく「レモンバーム」を用いるのが一般的。さらにレモン汁やクエン酸を加え、甘みは砂糖でつけます。シロップ状に煮詰めて保存し、水やお湯、ソーダで割って飲むそうです。
レモンバーム入れるのは初耳だぞ!?上の市販品「Robinson’s Barley water」は希釈用だと説明されていましたが、なるほど煮詰めて保存するものなんですね。
また、インドの伝統的医学「アーユルヴェーダ」では毒素を排出するための飲みものとして、バーリーウォーターが用いられています。こちらは、大麦をお湯で煮出したものが基本で、蜂蜜やスパイスを入れて飲みます。
ここまでの検索では見つけられませんでしたが、インド付近でも大麦水は飲まれているようです。奥が深い…。
バーリーウォーター手づくりレシピ
検索語句をかえたら出てきた麦水レシピ記事をご紹介します。
便秘とデトックスに効果がある台湾美人のドリンクを作ってみる?
友人の台湾人に教えてもらいました。
便秘が治ると人気のドリンクの作り方。
1.大麦を水でふやかしておきます。
(レシピの続きはリンク先にて)
https://plaza.rakuten.co.jp/ashitanokoto/diary/201603120000/
イギリス風レシピはこちら
さらにさらに、調べてみたら、「あさイチ」で、ベニシアさんがレシピを紹介していたそうです。
ベニシア・スタンリー・スミスさん直伝・レモンバーリーウォーターのレシピ
【材料】
・レモンバーム 10枝(レシピの続きはリンク先にて)
https://plaza.rakuten.co.jp/ashitanokoto/diary/201603120000/
やはりレモンバームを入れるんですね。
こちらはシンガポールの方の作り方。
好きすぎちゃって♡:バーリー製造っ
【まず材料】
水・Pearl Barley(大麦?)・パンダンリーフ(という葉っぱ)・甘味付け用の氷砂糖又は糖冬瓜(という、お砂糖漬けにした冬瓜)
レシピはリンク先にて。作り方自体は単純ですが、材料の入手が若干難しそうです、とか思ったら乾燥そら豆の通販でご紹介した大津屋さんで扱っているようですなんでもあるなアメ横!
アマゾンでもうちょっと大袋のものもあるようです。作ってみたい方はこちらまで。
糖冬瓜は中華街で売っているようです。
横浜中華街 中華菓子 糖冬瓜(トーガンの実、砂糖漬け)100g、干果実、そのままお召し上がりください♪
レシピ記事だと糖冬瓜の色は白系ですが、中華街の菓子は緑色ですね、シンガポールのものとは材料の種類が違うのかもしれません。糖冬瓜は氷砂糖での代用も可能なようですが参考までに。
水出し はと麦&レモングラス
無印良品で「水出し はと麦&レモングラス」という商品があるようなので参考リンク。
なおレモングラスは「イネ科」、レモンバームは「シソ科」の植物なのだそうです。別。
無印良品 水出し はと麦&レモングラス 1L用×20袋
アマゾンだと(別会社ですが)ペットボトルが売っていました。
ハイピース ノンカフェイン はと麦&レモングラス 500mlペットボトル×24本入
Pat’s exotic beverage Magnum (ジャマイカ)
http://blog.livedoor.jp/sekainonomimono/archives/65457353.html
フリーでつかえる画像が検索しても出てこない!たすけて!!というわけで画像はリンク先記事を参照してください。
そして飲料名で検索していたらこんなページが…
Warning Letters > Pat’s Exotic Beverages, Inc. 10/7/15 – FDA
何もなかったわ、なにもなかったわ!!!!(目をそらす)
麦やナッツ果物等の材料をスムージー的にした飲み物のようです。
Avena オート麦飲料 (コロンビア他)
http://blog.livedoor.jp/sekainonomimono/archives/65419507.html
「アベーナ」というオーツ麦(オートミール)と調味料を牛乳に溶かし込んだ飲料です。
飲み物ブログでは「凍っていないアイスクリーム」と評しています。たしかブラジルにナツメグを牛乳に突っ込んだアイスがあったと記憶しているのでアレ系の味かなと思います(おいしい)
Avenaは、南米で消費されるオートミール 、ミルク、水、 シナモン 、 クローブ 、砂糖を入れた飲み物です。 プエルトリコでは、 バニラ 、 ブラウンシュガー 、少量のバターが加えられ、 ドミニカ共和国ではジンジャーとオレンジの皮が加えられています。 Avenaはスペイン語で オート麦を意味する。 それはスペインからの甘いナッツ乳飲料であるホッラタ(horchata)と幾分似ています。
Avenaは、水と牛乳を使って沸騰させて準備されています。 砂糖と少量のオートミールを加えて調理する。 水を使用する場合は、調理終了時に牛乳をいくらか追加することがあります。 オート麦は、ひずんだり、ミキサーを使って混ぜたり、単に投手の底に落ち着かせることができます。 シナモンも時々使用されます。
上の発売禁止飲料はおそらくこれ系がベースなんでないかなと思います。
麦を牛乳・乳製品に混ぜる飲料は結構あちこちにあるようです。
Boza ボザ (ボスニアほか)
http://blog.livedoor.jp/sekainonomimono/archives/65427843.html
「麦を使った発酵飲料」「泡が出ている」
とのことで、酒になる前のビールのようです。この記事の「麦水」からはちょっと外れますが参考までに。
wikiによると「10世紀頃に中央アジアで作り始められた」「国によっては麦芽以外の穀物も使う」「アルコール度数は通常約1%」という飲み物だそうです。
下の方に貼った資料だと「紀元前4世紀には東アナトリアや中央アジアですでに飲まれていたらしく…」という記述があり、どっちもソース不明なのでいつからあったのかは一度調べたほうが良い(メモ)
ボザ(Boza、トルコ語:boza[1][2])は、トルコ、アルバニア、ブルガリア、キルギスタン、マケドニア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナやロシア、セルビア、ウクライナの一部等で人気のある、麦芽を用いた発酵飲料である。ポーランドやリトアニアでも飲まれている。アルバニアではトウモロコシと小麦、トルコでは発酵させた小麦、ブルガリアとルーマニアでは小麦か雑穀から作られる。どろっとしているが、アルコール度数は通常約1%と低い。かすかに酸味のある甘い香りを持つ。ルーマニア語ではブラガ(bragă)。
こちらはトルコでの飲まれ方です。
オオムギのソフトドリンク「ボザ」の効果
ボザは、オオムギを発酵させて作るソフトドリンク。トルコでオスマン帝国時代にも、今も非常に好まれている伝統的の飲み物である。ボザには下記のような多くの効果があると言われる。
http://www.gurumetoruko.com/2017/05/10/オオムギのソフトドリンク「ボザ」
トルコの飲み物「ボザ」、試してみた
「昼間は学校に通い、夜は父とともにトルコの伝統的飲料ボザを売り歩く日々を重ねて…」
オルハンパムクの小説『Kafamda Bir Tuhaflık(僕の違和感)』にも登場する飲み物、boza(ボザ)。
トルコの伝統的な冬の飲み物です。
以前紹介したクスルというトルコ伝統料理にも使われているブルグルという穀物を発酵させて作ります。
もーったりとしてて、酸味もあるけれどほんのり穀物の甘みも感じられる独特なお味。ボザ初体験の私としては、最初の一口目は「なんだこれ…!」と今まで体験したことのない味に少々驚きましたが、飲んでくうちになんだかくせになりました。
黄色いどろっとしたボザにシナモンパウダーをかけ、その上にleblebi(レブレビ)という炒ったひよこ豆を好きなだけぶっかけます。
http://www.gurumetoruko.com/2016/10/16/トルコの飲み物「ボザ」
[メモ]
※ボザについて「大麦を発酵」と「ブルグル(小麦)を発酵」と2種類の説明があるので注意
※トルコのシャルガムジュース(黒人参とカブの汁を挽き割り 小 麦 酵母で発酵させたもの)も、麦を使った飲み物。酒未満の麦の発酵飲料は探せば結構ある気がする。
※下記のブログ、説明は詳しいんだけどどういう人がどういう資料を使って書いたのか全く分からないのでとりあえずメモとして貼っておく。「紀元前4世紀には東アナトリアや中央アジアですでに飲まれていたらしく、現在もバルカンの国々やハンガリーやイランに同様の飲み物があるそうだ。」
まとめ
せかいののみものさんのおかげで、いろいろな国の麦飲料の事がわかりました。ありがとうございました!
古代ギリシャのキュケオーン(飲料タイプ)は、「大麦の粉」「炒った大麦」「オートミール(蒸したり潰したり加工したもの)」のどれで作られていたのかはわかりませんが、どの製法でも美味しい飲み物が出来る、今でも飲まれているというのが分かりました。
大麦はとても役に立つ穀物なのだと再確認しました。
次はお粥タイプのキュケオーンの話ができたら良いな!(予定は未定)
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