別の項目でもメモした「音色紀行」さんのイベントの
「歴メシ 古代ヘレニズム」の回。
先述の「古代エジプトパンを食べるイベントに参加してきましたメモ」の回です。
この回のレシピ本は現在未発行で、発行については現在めどは立っていないようです。
(イベント時に発行予告されていた解説本については、当日に予約入金したので発行されたら連絡来るはず)
(18.8.8追記・本日冊子データ到着。2018年の夏コミの新刊として発行だそうです。この記事のパンのレシピについては商業誌では英雄たちの食卓、同人誌では「ヘレニズム」に収録)
当日提供された古代エジプトパン
この時渡されたメニュー表に「セネトの墓の製法による」とあったので底本(レシピといつ頃のものか)を探そうと検索してみました。
しかし「セネトの墓」で検索してもセネト・ゲーム(バックギャモン)しか出てこなくてなんでやねんとなりつつ引き続き検索。みつかりません。なぜ。
あと歴メシに載ってる参考文献リストも当たってみました(結論から言うとこっちは不発)。
その後も思いついては検索を続けていたのですが、ふと検索単語変更と、逆順(Google的にあまりオススメしてない順)で尻尾側から探してみたら、発行元の書誌紹介ページが引っかかってきました。
おのれGoogle…つかれた…(この間数ヶ月)
柊風舎 人文・社会 食の歴史
世界中の偉大な料理人の情熱は、歴史に消えることのない痕跡を残している。
古代エジプトのパンに始まり、現代の「ミート・フルーツ」まで、食物史を彩る人々とその時代背景を、当時の文献から読み解く。
読めば読むほど味わいの出る一冊。内容目次
古代エジプトのパン(紀元前1958-紀元前1913年、ルクソールにあるセネトの墓の壁画から)
http://www.shufusha.co.jp/society/a_history_of_food_in_100_recipes/
こ、これだー!!というわけでエジプト古代パンの項目を参照しました!
「紀元前1958-紀元前1913年(中王国時代)」「テーベのTT60の墓の壁画」「セネトという女性のもの」という情報が得られたのでそこから検索したところ、外国の資料サイトにたどり着きました。
ルクソール(旧テーベ)の貴族の墓
Tombs of the nobles at Luxor (Thebes)
https://osirisnet.net/tombes/nobles/e_nobles.htm
ここにセネトの墓の項目があります。
ANTEFOQER and SENET – TT60
https://osirisnet.net/tombes/nobles/antefoqer/e_antefoqer_01.htm
2ページ目「Zones 8,9, 11 and 12」の項目にパン作りの壁画の写真と書き取り図があります。
https://osirisnet.net/tombes/nobles/antefoqer/e_antefoqer_02.htm
図の2段目の絵が欠けている部分から「脱穀→製粉→生地をこねる→焼き用の壺(型?)に入れる→焼く」という手順のようです。
また「食の歴史 100のレシピをめぐる人々の物語」の解説によると「セネトの墓の壁画には、発酵のため酵母を含ませる工程は含まれていない」「近くの墓のほかのヒエログリフでは生地を炉のそばに置いてふくらませる」とあるそうです。
小麦の品種も気になりますが、品種についてはこの本の解説では触れていませんでした。
なので底本の「TT60の壁画」や「近くの墓のほかのヒエログリフ」などではどういう麦を使ったかについては触れていないと思われます。
小麦の品種について。古代パンについては自分が調べた範囲だと墓の副葬品等の分析でのみ小麦の種類が語られているので、壁画やヒエログリフでは「麦はこの種類」という説明はされていない(説明しているものは見つかっていない)ようです。
というわけでパンを作る工程についての壁画と、どの時代かの資料はみつかりました。
この本(壁画)で不明な「材料の小麦」「水」「発酵」の話はまた別の項目で。
なお、他項目に行く前に結論だけ先に言うと、墓の副葬品のパンは「エンマー小麦」で作られていたそうです。
キリンビール大学・史学部
古代エジプトではデュラム小麦と遺伝子構造の似た「エンマーコムギ」でパンを焼いていた
古王国時代のパンには「エンマーコムギ(Triticum dicoccum)」という麦が使われていた。エンマーコムギは二粒系の麦でグルテンの質がパン小麦と違うため…(後略)
キリンビールの古代エジプトビールの再現プロジェクトについての項目ですが、ビールを作るためにはパン(酵母)が必要なため、パンの製法についても取り上げられています。
こちらでは古代の製法で作ったビールはどんなものかについて取り上げられています。
[メモ]共同研究の京都大学のHPより。 エンマー小麦を使い、現代の製法で作ったビール。
【ご注意】ホワイトナイル、ルビーナイルは「古代エジプトビール」を再現、復刻したものではありません。
あくまで古代エジプトのアルコール飲料と材料の一部を共通にする現代ビールです。http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news7/2009/090420_1.htm