大麦の品種
キュケオーンに使われていた(かもしれない)麦、というと要するに「物語当時に食べられていた大麦の品種」の話になるのだが、どうもそこらについてはよく分かっていないっぽい(結論)。
栽培大麦のもつ遺伝子の地理的分化と起源
パン小麦のように、染色体構成の中に種の進化の歴史を保存している作物では、ゲノム分析という方法によって起源の謎を解きほぐすことができる。しかし、単一のゲノムからなる大麦にはこの方法は適用できない。だから、それに代わる手段として、栽培種のもつ遺伝子の地理的分布の中に作物の歴史を求めようとする努力がなされている。
「大麦の起源」 高橋隆平 著 – 1968 岡山大学農業生物研究所https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/6/6/6_6_358/_pdf
※見ての通りかなり古い論文(51年前!)で、最新の研究だと何処まで分かっているのかよくわからないのですが、古代の大麦に関しての最近・最新の論文が見つけられてないので、今回はここから話を拾いました。
話を戻して。
オデュッセイアの書かれた時代は諸説あるが、とりあえずwikiの説を取る。
紀元前8世紀頃に吟遊詩人が吟唱する作品として成立し、その作者はホメーロスと伝承されるが、紀元前6世紀頃から文字に書かれるようになり、現在の24巻からなる叙事詩に編集された。
で。
この時代の地中海付近で栽培されていた大麦は?二条大麦、六条大麦?品種は?
……と、色々疑問はあるものの。
「明確な答えは出ていない」かつ、「古代種に近い大麦は栽培されていない?」
という、何もかもわからないという点から、大麦の品種については一旦諦める。
精麦
代わりに注目したいのが、現在市販の麦の大半で施されている加工「精麦」。
麦は表面の皮が硬いため、市販の麦は「精麦」という表面を削る加工が施されてすます。この時に3~5割は削られているのだそうです。そんなに…。
古代には精度が高い道具はなかったものの、奴隷が労働力なので、貴族の贅沢料理用に麦もまっしろになるまでピカピカに削っていたとか。(砂を混ぜて磨いていたとか)