ローマの粥「プルス」、それを「キュケオーン」と仮定した再現料理に使うチーズについてのメモ。
カッテージチーズとリコッタチーズについて。
ここまでの出来事を整頓メモ
最近いちばん有名な再現料理の本の「キュケオーン」のレシピの材料に「リコッタチーズ」とあって、その作り方として「牛乳・生クリームにレモンを入れて分離させてチーズを作る」というレシピが書かれていた。
チーズについて調べてみると、「牛乳(+生クリーム)」を材料にして作るフレッシュチーズはカッテージ(コテージ)チーズ。
リコッタチーズは「一度チーズを作った後の液体・ホエー(+牛乳追加)から作る」ということがわかった。
「牛乳(+生クリーム)」で作るリコッタはあくまで「簡易ご家庭用レシピ」である。そのへんの説明を記載しているレシピだけではなく、記載していないレシピもある。
リコッタとカッテージでは味が異なる(リコッタは甘め、カッテージは酸味)
最近いちばん有名な再現料理の本のキュケオーンの項目の引用元は「古代ギリシア・ローマの料理とレシピ」で、そちらではローマの粥「プルス」がキュケオーンだろうという推測をしたという説明のもとで料理を再現していた。
「古代ギリシア・ローマの料理とレシピ」では、当時のチーズの代替材料として「(牛乳の)リコッタチーズ」を使っている。この本にチーズのレシピは記載されていないので特に変わった作り方はしていないと推測する。
ただし、材料としてリコッタチーズを選択した理由は記載されていない。筆者は最初に「やわらかいヤギのチーズ」(多分シェーヴル)で料理を試作してイメージ通りの粘度で作ることが出来た。
試作品を一般材料に置き換えた結果、山羊チーズと近いテクスチャー(柔らかさ?)の材料はリコッタチーズ(牛乳?)と判断した、と思われる(推測)。
特に記載されていないがこのリコッタチーズも「やわらかい」ものを想定しているように思える。(実際、水分をしっかりと切ったチーズで粥を試作した人はほぼ塊状の出来上がりになっている)
別項目でも記したが、最近いちばん有名な再現料理の本のキュケオーン用のチーズのレシピは「厳密にはカッテージチーズ(家庭用レシピ)」「塩とレモンを平均的なリコッタチーズレシピよりかなり多く入れる(凝固しにくいようにとフェタチーズをイメージ?)」という調整がされているが、その事についての説明は記載されていない。
チーズの水分量については未検証だが、一般的なレシピと比較して100g(100ml)程水分が多い程度なので、そこまで柔らかい仕上がりでは無さそうである(推測)
チーズについて詳しく知りたい方はこちら(今回の参考資料)
チーズの教本 2018: 「チーズプロフェッショナル」のための教科書 (小学館クリエイティブ単行本)
チーズの教本 2019:「チーズプロフェッショナル」のための教科書 (小学館クリエイティブ単行本)
フレッシュチーズいろいろ
フレッシュチーズについて
「フレッシュタイプ」とは、熟成させないチーズのこと。乳に乳酸菌や酵素を加えて固めて、水分をとると白い固まりができます。これがフレッシュチーズです。このタイプは他のチーズと比べて水分が多く、軽い酸味とさわやかな風味でくせが少ないのが特長です。なお、鮮度がおいしさを左右するので、開封後は早めに食べ切りましょう。
「フレッシュタイプ」の一般的なつくり方
乳に乳酸菌または酵素を加えて凝固したもの(凝乳)から、ホエイ(乳清)を除去したものがフレッシュチーズです。(凝乳の方法には、酸凝固や熱凝固もあります。)
すべてのチーズはこのフレッシュチーズから始まります。http://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/jiten/shurui/fresh/
保存には適さないタイプのチーズ。やわらかいものだと、素人目にはヨーグルトに見えるものも。
国際食品規格(CODEX)の基準だと、成分の関係でリコッタ等はチーズの定義から外れますが、そんな事言われても困るので一般的にはチーズとして扱われています。「コーヒー牛乳」がある日突然「乳飲料」になって「コーヒー」になったようなアレです(定義が変わった)。
上記の雪印メグミルクのHPから、チーズについての説明を一部お借りします。詳しくはリンク先で全文読んでね!
リコッタ
リコッタRicotta : 英・仏語表記
味の特徴 ミルクの風味とほんのりとした甘さ。
リコッタとは
チーズ製造時に出てきた水分=ホエイ(乳清)を加熱して固めます。名前の由来はリコッタ「二度煮る」という意味からきています。
ホエイ(乳清)から製造するので低脂肪なのが特徴です。さっぱりした味で、やわらかで口当たりが良く、ミルクの自然な甘さが残っています。
日本では2005年10月から法令上の種類別名称が「チーズ」ではなく、「乳又は乳製品を主原料とする食品」に変更されました。http://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/jiten/term/ricotta/
カッテージチーズ
カッテージチーズCottage:英・仏語表記
味の特徴 さわやかな酸味で、くせのない軽い風味。
カッテージチーズとは
生乳から乳脂肪分を取りのぞいた脱脂乳を原料に作られるチーズです。脂肪分を除去しても、たんぱく質やカルシウムなどの栄養成分はそのまま残されているため、ヘルシー志向の料理の材料や、ダイエット中のカロリーコントロールとしても注目されています。http://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/jiten/term/cottage/
フェタ
ギリシャでよく食べられているフェタチーズもフレッシュチーズの一種。
フェタFeta :仏語表記
原料乳 羊乳(山羊乳は30%まで使用することができる)
味の特徴 塩味が強い。
フェタとは
名前の由来はギリシャ語で「スライス」。山地の多い地形で農耕より羊や山羊の放牧が盛んなギリシャで生まれたチーズで、古代ギリシャのアテネ郊外に住む羊飼いが作り始めてから今まで、ほとんど進化していないと言われているチーズです。
1898年までフェタは地元で消費されていましたが、シロス島で初めて商品化され海外に輸出されるようになりました。
フェタの特徴は、不均一な小さな孔がたくさんあるソフトチーズで外皮はなく、ポロポロとした木綿豆腐のような組織です。
ギリシャ人にとっては各家庭で作っていた漬物のような食べ物で、春に作ってフレッシュなまま食べ、残りは塩漬けにして保存するため、食べる前には塩抜きが必要です。塩味が気になる場合は水に浸して塩抜きしてみてください。
2002年にPDO(欧州連合の原産地名呼称保護制度)を取得しました。http://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/jiten/term/feta/
フレッシュチーズを食べ比べできる店
というわけで、カッテージチーズとリコッタチーズが別であることは分かったものの、食べてみないと分からない。しかしチーズをまるごと2つ買って食べ比べとかちょっと多いなあ…というあなたに送るお得情報っていうか、そーいやそうだったな!と記事書いてる最中に思い出した「フレッシュチーズ食べ放題がある店」。
変わった外食ついでにちょっとだけ食べてみたいという用途にはいいのではと思います。
下記に挙げた以外にも(食べ放題以外でも)フレッシュチーズを食べられる店はあるので、興味のある方は調べてみてください。
タカナシ ミルクレストラン
ランチはフレッシュチーズ食べ放題&メイン料理という構成になっています。
こちらのランチのフレッシュチーズ食べ放題に「リコッタ」は入っていますが、「カッテージ」は入っていませんでした。
ディナーのチーズバーは種類が増えますが、そちらにもカッテージは入っていないようです。
親会社がタカナシ乳業株式会社なのでシンプルなチーズではなくちょっと珍しいものを出すようにしているのかも。という以前に、タカナシ乳業の公式通販サイト見たけどカッテージチーズがないので、店に出す出さない以前に作ってないのかも疑惑。
店頭で、このお店で出しているチーズを購入できるという話を見かけたので、リコッタチーズを買って帰ってもいいかもしれません。(直営店以外でも置いているお店があるので、チーズの品揃えがいい店に行ったときに棚を覗いてみると良いと思います)。
カッテージチーズについては、自作するか、他社のものですがスーパーで定番品として置いてある場合が多いので、それを購入すれば比較・味見できます。
タカナシミルクレストラン HP
神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-8 みなとみらい東急スクエア3 2F
goodspoon
こちらの店のフレッシュチーズ食べ放題には「リコッタ」と「カッテージ」が含まれています。ただ、リコッタのほうは最初から味がつけられているようなので、チーズ自体の味の比較に向くかはわかりません。
お店は大阪方面に数店と、横浜みなとみらいにあります。親会社はCALM-DESIGN(カームデザイン)で「店舗デザイン/設計デザイン/飲食店プロデュース」の会社。
自分は未訪問ですが、お店の訪問レポートが多数ネットにあがっているので、読むと参考になると思います。
みなとみらい店HP goodspoon みなとみらい
CRAFT CHEESE MARKET 名駅店
名古屋のお店でもフレッシュチーズ食べ放題をやっているようです。リコッタとカッテージも含まれているので興味のある方はHPを確認してみてください。
参考文献メモ
最近いちばん有名な再現料理の本
キュケオーンの項目の引用元の本
チーズについて調べた本
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