ここまでのあらすじ
1.最近出た書籍のキュケオーン(魔女の麦粥)のレシピはどうやって再現されたの? → 古代ギリシア・ローマの料理とレシピに掲載されている記事より、実在した「古代・カルタゴの小麦粉粥レシピ」をキュケオーンとして紹介している。
2.古代の小麦粉粥に近い料理はなにかあるの?
材料が近い料理を集めてみました。小麦粉粥キュケオーンは美味しいと思えるか否か?
3.現代の小麦粉粥をアレンジして、キュケオーン(をイメージした)粥を作ってみた
小麦粉粥ではないキュケオーンの再現レシピ
先に述べたように、キュケオーンのレシピ再現はカトーのレシピの「小麦粉粥」以外にも考えられています。
カトーのレシピ(カルタゴの小麦粉粥)ベースではなく、オデュッセイアの文面を参考に料理を作ってみた方の記事をご紹介します。
大麦(粒)を使ったキュケオーンのレシピ
下記は古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家の藤村シシンさんのイベント「古代ギリシャナイト」のまとめです。
こちらの2015年のイベントではキュケオーンの再現料理が提供されました。料理おしながきの「はちみつワインおかゆ(秘技風)」がキュケオーンに該当します。
#古代ギリシャナイト ~アポロン聖誕祭2015 まとめ
1p目に提供されていたfはちみつワインおかゆ(秘儀風)ことキュケオーンらしき料理が写っています。ワインとチーズの汁の中に大麦ゴロゴロという出来上がりなのがわかります。
[感想]イベントレポートめちゃめちゃ笑った(まとめ3p目あたりからカッとばしてくる)そして「親心」でだめだった(画像はイメージ)
イベントのまとめを読んで一通り笑ったところで、藤村シシンさんがこのイベント用の料理を研究開発した時のツイートのまとめがこちらです(先にこっちを出せという意見は受け付けない)
「2.秘技おかゆ」の見出しの項目がキュケオーンです。
#古代ギリシャ料理 を作る~悪魔のクソ風味マグロ、秘儀おかゆ、女陰型の神聖ケーキ等
水に浸しておいた大麦にギリシャ産赤ワインを入れ、山羊のチーズ、蜂蜜を入れ熱して混ぜる
藤村シシンさんはオデュッセイアの文面通り「(水に浸しておいた)大麦」そして古代ギリシャで食べられていたという「山羊のチーズ」を使用。
吸水させた大麦を、ワイン・山羊チーズ・蜂蜜で煮込んで、最後にミントを加えています。
チーズの種類は不明ですが、山羊のチーズとのことでフェタチーズやカプリーノチーズを使っているのではないかと推測。
このまとめを読んで分かる通り、煮上がった試作おかゆに対して「史料ではみんな啜って(飲んで)食べたり、デメテルが無礼な人間に浴びせかけたりしている描写があるので、もっと水気の多いスープ状のはずなんですが、水が少なかった」と感想を述べられています。
まとめには大麦つぶつぶタイプのキュケオーンの味に関しての感想も載っています。
感想を見るに小麦粉タイプのキュケオーンとはかなり違うものになっているようです。
小麦粉タイプはゆるいカスタードクリーム的な全部の材料が混ざりあったペースト状のものですが、こちらはさらさらのお汁粉というか麦と汁は別れた状態の粥で具と汁で味のコントラストが強い、という印象です。
お粥とは全く関係ない余談ですが、1つめのメニューのキャベツの前菜について(再現料理イベントではよく出てくる)。
当時のキャベツは今自分たちが食べているような結球型ではなくて、キャベツ・ブロッコリー等々に分かれる前の原種だと考えられています。多分ケールとかそういう「結球しない・葉っぱ型のキャベツの親戚」「春の味覚の菜花」の方が元のふいんきに近いのではと思っているのですがこの話はまともに話すと長くなるのでメモ程度で。
この辺は主催の皆さんももちろん知ってはいるものの、コストとか入手難易度の関係で現在一般的な結球キャベツを使っている形になっているそうです。個人でこだわりたい人はケール等々を使ってみるとまた違う風味になるかもしれません。
いますぐ詳しく教えろという人には「キャベツ・原種」で調べるか、「遥かなる野菜の起源を訪ねて―イネ・ムギ・野菜 日本への道 (National culture)」をおすすめします。
あと全く関係ない感想「横浜市のマークが泣いている」。
『ホメロスの叙事詩』の粥
この記事の方は古代ギリシア・ローマの料理とレシピの「粥(キュケオン)」の項目を読みカトーのレシピを参照しつつ、オデュッセイアの説明を取り入れて独自のレシピに仕上げています。
オデュッセイアに出てくるキュケオーンは「チーズ、大麦、黄金のハチミツ、そこにワインを混ぜ合わせ…」という説明になっています。
上の藤村シシンさんは麦をワイン他でそのまま煮込んでいましたが、こちらのレシピでは軽く洗った麦を先に別で煮て、煮上がった麦を熱したワイン他に投入し、好みでオリーブオイルを加えて完成です。
リンク先の再現粥は、大麦・赤ワイン・蜂蜜・ギリシャのフェタ(羊)チーズ・オリーブオイル、のお粥です。こちらの方は麦の種類も気合を入れて選んでいます。
『ホメロスの叙事詩』の粥──男の料理
2013.06.03
文:星野哲也(東京・白金のバーのマスター)
大麦(小動物用でないもの) 200g
赤ワイン 120g
蜂蜜 大さじ2
チーズ(ギリシャのフェタチーズ) 適量
オリーブオイル 適量https://gqjapan.jp/life/food-restaurant/20130603/mens-kitchen201306
材料を見ての通り、カトーのレシピの小麦粉粥と近い材料を使いつつも、麦を大麦に変更しチーズ等の分量を自由(適量)としています。
ガルム(魚醤)やイチジクが並ぶ出来上がりの写真を見ると、物語に出てくる大麦で作るキュケオーンはこんな感じで供されていたのかも、と感じます。
全部一気に煮るか、時間差で各材料を入れていくかで仕上がりが違うのも料理の奥深さを感じます。
ビールを指していたのかも?
キューケイオーは普通「混ぜ粥」と訳されます。キューカオー(混ぜる)から来たものですが、この混ぜ粥は、大麦の粥にワインやチーズを入れて混ぜたもので、ホーメロスの「イーリアス」でも出て来ます。
ワインと炒めた大麦を入れたキュケオーン
キュケオーンのレシピ探していたら、大麦をロースト(roast/炙る)して使う、という記事がありました。
麦を炙るとどうなるか、日本だとこうなります。
六条大麦から麦茶を作ってみよう!
日本人に馴染みのある飲み物になりました
……お粥に使うんだと脱穀したあとの方が良いかも?
古代ギリシャでは大麦のほうが上等な食べ物だと言われていたとか。その後ローマ時代になると小麦のほうが上等扱いになっていったのだそうです(カルタゴの小麦粉粥の辺りはそうだったのかも)。
それはさておき、こちらのギリシア料理歴史研究の記事では
「私が歴史的な夕食のためにキュケオンを作るたびに、私はワインの一部を炒めた大麦のミール(roasted barley meal)と一緒に混ぜ合わせ、堅いヤギのチーズと蜂蜜を混ぜ、数分間絶え間なく かき混ぜる。それから私は火からおろして、冷やして、もう少しワインを加えて薄くし、再びかき混ぜる。」
上記のような文があり、この筆者の人は恐らく「大麦を粒で炒ったもの」または「麦こがし(大麦を炒った後に粉にしたもの)」を使ったレシピを考えていると思われます。
麦こがしは単品でも美味しいものですが、ワインと合わせた場合どうなるのか予想がつかない…。
「乾燥した、厳格で鮮明な赤ワインを選んでください。」
ワインは本体の甘い味付けと合わせるので、黒くて辛口なワインを選んでください、という意味のようです。
このレシピでは麦をローストたものをワイン他の材料で煮たあと、火からおろして冷やし、改めてワインを加える、という手順で、2回に分けてワインを加えています。
記事内で分量や出来上がりの写真は提示されていませんでしたが、興味深いレシピです。
記事ではキュケオーンについて色々と見解を述べているので、一度読んで見ると楽しいと思います。
機械翻訳なのでなんか間違ってたら教えてください…。
Kykeon [Definition]
こっちの記事は、飲み物としてのキュケオンの話をしています。粥状ではなくドリンクかも?
キュケオン(ギリシャ語の “ミックス、炒め”)は、古代ギリシャの労働者の間で人気のある水と大麦(時にはミントやタイムを味わう)の飲み物でした。
ホメロスの「イーリアス」では、それは水、大麦、ハーブ、および粉砕ヤギチーズ(書籍XI)の混合物として記述されています。
ローマ帝国時代には、水、ワイン、ハチミツ、大麦から作られた人気の飲み物であり、さまざまなハーブが個々の味に加えられていました。
この資料からだと、古代ギリシャの労働者階級だとキュケオンは「大麦とミントの水」を指しているようだ。
イーリアス(オデュッセイアに並ぶホメロスの叙事詩)では「水、大麦、ハーブ、および削り入れたヤギチーズ」となっている。
時代が下ったローマ帝国時代(の貴族階級料理だと)、水・ワイン・蜂蜜・大麦などの豪華な材料で作られたのではないだろうか?と推測される。
(※なのでカトーのカルタゴ粥のレシピをベースにした事自体は的外れではないが、ローマでは小麦粉のほうが上等扱いだったことからここで材料がエンマー小麦粉に変わっていることがポイントなのでは?と思ったメモ)
なんとなく思ったがキュケオンのキモとは「大麦(粒状の煮汁、または粒または大麦粉含めた状態)」であって、「かき混ぜて濃くする」=粥料理、とは限らないのでは感が…。ただそういう事を言っている専門家の人は見当たらないので、「そうではない」理由がなにかあるんだろうということでそのへんを調べてみたいですメモ。
そんなことをぼんやり思いつつ、日本ではあまり馴染みがないけど外国では結構飲まれているらしい大麦汁の話に行きたいと思います。
大麦(汁)を使ったキュケオーンのレシピ
ドリンク的なキュケオーンの英語レシピを見つけました。
こちらもこちらで元ネタがあるっぽいので調べてみました。
マグロの塩焼きにパン、ワイン 古代ギリシャの食文化とは
古代ギリシャの飲み物にはどんなものがあったのでしょう?
「キュケオン」は農民を中心によく飲まれていた清涼飲料水です。大麦のひき割り粉にミントを混ぜたもので、儀式の際にも用いられていました。
上記の記事は「 古代ギリシャの食文化①ナッツ・麦粥・パンの登場 」「古代ギリシャの食文化②肉・魚・野菜について 」「古代ギリシャの食文化③飲み物とお酒 」について触れていて面白い記事です。
この記事の主な資料はこちらの本のようです。
更に資料を遡った先は多分これだと思われます。
養生法 Ⅱ ヒポクラテス著
Regimen Ⅱ Hippocrates
※引用NGでリンクはOKとのことなのでリンクURLのみ記載します。
上記の「41.」の項目にキュケオンという飲み物の事が出てきます。
養生法 Ⅱにキュケオンは大麦の粉を使う、とありますが、大麦の粉の特性とはどういうものなのでしょうかというわけで大麦リンク。
大麦から小麦へ – 製粉振興会
大麦を臼でついて粗挽きし、土器で煮て「おかゆ」として食べました。小麦のおかゆはグルテンが固まってボタボタの感じですので、大麦の方がさらっとしたおいしいおかゆになりました。中国でも先秦(しん)時代までは、主に大麦のおかゆが食べられていました。
大麦について – 日本精麦
https://www.nichibaku.co.jp/%E5%A4%A7%E9%BA%A6%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
大麦粉って何に使うんですか? 福井大麦倶楽部
大麦と小麦の違い 株式会社はくばく
大雑把に言うと、大麦は小麦より栄養価とか繊維質が多くて、グルテン(粘りがあるタンパク質。パン焼く時にこれが入っているとパンがふくらむ)が入っていない、という性質の差があります(あと育てやすさも違う)。
昔から大麦水はあったらしい
ptisanという大麦水があったらしいというかヒポクラテスとか古代の複数の人が著書でこれに触れているらしい(リンク先を機械翻訳してね)
Ptisane (ギリシャ語、ラテン語ptisana )または”大麦の水“は、そのぬるんとした質感と治療目的のための栄養素と治療薬としての良好な消化性のために古くから使用されていた、 大麦の麦またはその煮汁で作られた穀粒を意味します。 [1]
あと上にも貼った「図解 食の歴史」のgooglebooksの内容プレビュー。この本では「プティサネー」と音訳している。
山室静さん(昔たくさん読んだ)翻訳のギリシャ神話の本にも、女神デメテルがハデスにさらわれた娘ペルセポネを探すくだりにこんな文章がありました。
彼女は蜂蜜をまぜたおいしいブドー酒を出されたが飲まず、農民たちが収穫どきに飲むハッカをまぜた大麦湯を所望した。
大麦粥と大麦水は元々は別のものだったのだと思いますが、時代が下るにつれてキュケオンとして同一視されていったのでしょうか?謎は多いです。
あと、なんかとても面白いブログがありました。ぺたり。
>>祝福された水
大麦のことを指している言葉だそうですが、気になる言い回しなので後で調べてみよう。
参考図書も記載してくださっていて超ありがたい…(拝)
Kyoto University Research Information Repository
320 人文科学研究所
東方学資料叢刊 (東洋學文獻センター叢刊)
第19册 伝ウマル・ハイヤーム著 ノウルーズの書 : 附ペルシア語テキスト
上記はリンク先でPDFで閲覧できます。44-47p(書誌内のページ番号)の大麦の章に「大麦の水は薬になる超いいもの(超ざっくり)」的なことが書かれていました。
なおオデュッセイアが前8世紀頃、ウマル・ハイヤームが11世紀頃の人。………めっちゃ年代離れてるな………。
「すぽーつ麦茶の7つの原料-オルゾモンド(大麦)」のページにこんな話も。煮出さず水に浸していたという話も。
ギリシャ・ローマ時代の戦士も食したオルゾモンド(大麦)
古代ギリシャからイタリアのプーリア地方に伝わった話によると、大麦を水に浸しておくと、水がピンクになり、この水をおなかの調子が悪い時に飲んでいたそうです。
あとめっちゃ商品説明なのでソースとしてどうかですが
イタリアン大麦飲料 オルゾ(ORZO)
正確なところは不明ですが、オルゾが飲料として飲まれるようになったのは、「かなり古い時代(ギリシャ・ローマ時代)からではないか」と言われているのです。
とりあえず大麦水が昔からあるという話があるのと、現在でも大麦湯はそこそこ一般的らしいというのがわかった。
大麦水信仰というか「いいものだ」という認識は、大麦を日常的に食べていた地域ではずっと伝わっていたようです。
日本だと麦茶として煎って使うのが一番的なので「(炒ってない)麦を浸した・煮出した水」は自分たちにとっては認識が薄いのかもと思いました。
とか書いてたらwikiに明治期頃までは飲んでたこともある的な話が…(目が節穴)
米や雑穀と比べて煮えにくいため、挽き割り粥にするか、炊飯に先立ち、あらかじめ煮て冷まして一晩置くえまし麦としてから、単独、あるいは米や雑穀と混炊して調理した。明治時代までは、えまし麦の茹で汁は、砂糖を混ぜて母乳の代用品として使われることもあった。
もうちょっと調べたいので出典がどこなのか教えてくれー!!
茹でた麦に関するレシピをざっくり見ても、大抵が「茹で汁は捨てる」。良くて「料理に使う」「茹で汁で米を炊く」という指示になっていて、そのままを飲み物として使う使い方は日本からはなくなってしまったのじゃろうか…(要捜索)
Barley Water
現代の「大麦の水」のwikiはこちら。日本語だとこの飲み物作ってるブログとかさっぱり引っかからない!現在の日本人には馴染みが超薄い調理方法のようです。
機械翻訳べた張りですがこんな感じのもののようです。
Barley Water
大麦の水は世界各地で消費される伝統的な飲み物です。 水で茹でた穀物を飲むのは古代の習慣です。
大麦の種類には、
Kykeon(ギリシャ語。κυκεών、κυκάωから、「炒め混ぜる」)は、主に水、大麦および天然物質で作られた古代ギリシャの飲み物でした。
エレウシスの秘儀(Eleusinian Mysteries)のクライマックスで使用されていましたが、 それはまた、ギリシャの農民の好きな飲み物でした。
英国版は洗ったハトムギを沸騰させ、ひげをつけてお湯に注ぎ、レモンの果肉に果汁や砂糖を加える。 その皮は大麦と一緒に茹でることもあります。
東および東南アジアのバージョンは、一般的には茹でたり?(茹で麦を濾したり?)せず、 ライム(果実?)の有無にかかわらず、暑いまたは寒い季節に消費される可能性があります。(※ここはかなり誤訳してるかもなので原文も参照してください)
これらの種類の大麦の水は一般に飲み物の中に茹でた穀物を含む。
熱い大麦の水は、柔らかい茹でた穀物を食べることができるように、しばしばスプーンと冷たい大麦の水をストローと共に提供されます。
焙煎した大麦茶(※麦茶?)も人気の東アジアの飲み物ですが、味と質感は大麦の水とは非常に異なります。お茶(※カフェイン?)は入っていない。
パンジャブの農民の間でも人気のある飲み物です。 パンジャブ語では「サチュ」と呼ばれています。
大麦の水は、大麦の食事を食べる前の最初のベビーフードとして使用されています。
それはまた、 膀胱炎の在宅治療薬としても使用されています。 [1]

photo credit: Majiscup Paper Cup Museum 紙コップ淡々記録 薏仁1杯 五穀漿 1 cup barley a person 5 grains milk via photopin (license)

photo credit: Majiscup Paper Cup Museum 紙コップ淡々記録 燕麥薏仁 Oat barley milk via photopin (license)
読めないけど多分これ大麦とか燕麦メインの麦水だよね?(素材サイトで偶然出てきた)
あとはこんな記事がありました
日本国際薬膳師会
「はと麦のゆで汁」には思い入れがありますという、レシピが届きました。 熱帯の国シンガポールには、はと麦のゆで汁を冷やした ”Barley(バリー)” という飲み物があり、”体の熱やほてりを冷ます飲み物”として水代わりに飲むそうです。
水代わり…とは言え、レストランでは立派な飲料でお金を払って飲みますが、ご自宅でも冬瓜の砂糖漬けやバンダンリーフというシンガポール独特の草などを加え、ほんのり甘さと香りをつけて煮出して飲むそうです。
「日本では頻繁に飲むことはありませんが、利水効果もあるはと麦は梅雨から夏にかけて欠かせぬ食材となり、はと麦のゆで汁はどうしても捨てられなくなりました。体を冷やすと脾を傷めやすいので、この時期は温めて飲んでいます。」ということです。
Barley(バリー)を作ってみたくなりましたね。
日本語の「麦の茹で汁を飲む話」は薬膳系の記事にときーどき見られますが、基本的には超マイナーレシピのようです。それとも自分の検索語句がまちがっているのか…(たすけて)。
大麦水ドリンクなキュケオーンのレシピ
一例ではありますが、現代のドリンクレシピも紹介します。
Mint Barley Water (Ancient Greek Kykeon)
http://www.eatthriveglow.com/mint-barley-water-ancient-greek-beverage-kykeon/
「大麦の水は古代ギリシャの農民の飲み物で、準備は簡単で安価だったので、 キュケオーンとして知られていた当時は、古代ギリシア人は、消化を改善し、病気を治すと言われていた治癒飲料を作るために、水、大麦、およびスパイスや粉チーズなどの他の成分を一緒に混合しました。」
「ギリシャ人は大麦の水を愛していた唯一の人ではありませんでした! 英国では、大麦の水も人気があり、腎臓病から発熱のすべてを治療すると考えられていました。 ウィンブルドンのテニス選手たちは、体をリフレッシュして水分を補給するために、大麦の冷水を飲んでいた長い歴史があり、古代の飲み物が今日まで人気を保つのに役立っています!」
といった説明がされています。ずっと愛飲されていた実績のあるレシピのようです。
だいたい機械翻訳なので、なんか怪しいなと思ったら原文を参照してください…。
著者: Eat Thrive Glow
服用量(1人前?): 1カップ材料
大麦 1カップ
水 6カップ
ペパーミントの葉 5枚
レモンジュース 大さじ1/2杯
メープルシロップ 大さじ1杯
つくりかた
大麦を、中低温の水6カップで煮立たせます。約20〜25分後、大麦が煮えて、鍋の水が減ってきます。
火からおろします。
水を集めるために、煮た大麦をざるに通します。
煮汁は大きなボウルに入れます。 大麦は脇に置きます。
大麦の水にペパーミントの葉を入れ、約30秒間電子レンジで加熱して、ミントのフレーバーを加えます。
レモン汁とメープルシロップを混ぜます。
フレーバーウォーターというか、古代ギリシア麦茶?というイメージです。記事の写真を見るに白濁した飲み物で、大麦本体は使わないようです。
白ワインを使ったレシピ
こちらのレシピは最後に白ワインを加えるアルコール飲料です(ノンアルコール時にはぶどうジュースに変えるように指定がある)
飲みやすくぶどうを加えた現代バージョンであるといった説明がされています。
kykeon (recipe)
古代ローマでは 、大麦の水はローマ軍の供給の中で運ばれた標準的な飲料であり、平均的な兵士はそれを定期的に消費していたのだろう。 それを準備するために水を煮沸していたので、キュケオンおよび他の大麦の水の変種は、一般に、畑で見つかった水よりも飲みやすい。
このレシピは、風味の添加物としてワインまたはブドウジュースが含まれている「ファンシー」バージョンです。
あなたがローマの大麦の水に歴史的に正確であることを求めているなら、すべてのブドウ製品を残しておきますが、エレウシスの秘儀のキュケオンの正確さを求めるならそれを含めてください。
Leave out all grape products if you seek to be historically accurate to Roman barley water, but include it if you seek accuracy to the Eleusinian kykeon.
だ、だれか…(訳せない)
材料:
ハトムギ 60g
甘い白ワイン * 125ml
水 5カップ
蜂蜜 大さじ2
新鮮なミント または ペニーロイヤルミント、細かく粉砕または細断したもの
警告:絶対にペニーロイヤルエッセンシャルオイルをkykeonに使用しないでください! それは非常に毒性があり、 中絶者として働く。
準備:
大麦の鍋に大麦を入れ、すべての水を加えます。沸騰させてフタをして、90分煮る。
得られたジュース(煮汁)を別の容器に取り分けます。
煮沸した大麦は脇に置きます。 その後、牛乳や蜂蜜と一緒に甘い穀物の朝食を楽しめます。
ジュースが冷めたら、蜂蜜とワインを加え、次に味と濃度が好みになるように水(分量外)を加えます。
ミントの葉を加えて冷やします。
*アルコール摂取量が全くないようにするには、白色ぶどう汁が適しています。
こっちのレシピはかなり長時間煮出しています。またミントを加えた後に加熱はしていません。
刻んだミントの葉を入れたキュケオン
シンプルな飲み物ながら、材料の形を変えたりしてレシピは千差万別です。
Kata Makes Kykeon 2.0
http://therkalexander.com/post/99501073757/kata-makes-kykeon-20-i-attempted-making-kykeon
以前失敗して2回めなので2.0みたいです。
材料:
大麦 1/3カップ
水 4カップ
蜂蜜 大さじ3
ミントの葉 細かく細かく刻んだ12枚分つくりかた:
中鍋で大麦を熱し、沸騰するまで熱します。
火を弱め、蓋をして、90分煮る。
別のボウルに水を入れ、ミントとハニーを加えます。混ざるまで徹底的に攪拌する。
煮た鍋をサーブする?(火からおろして) 煮上がった大麦と水を別で保存します。
(煮汁にミントとハニーの水を加えて?)4人前に分ける。
水をどう分けて使うのかいまいち分かりずらいレシピですが、冷水に蜂蜜入れてどう混ぜるんだろうと思っていた点についての疑問は解消しました(頑張って混ぜるのか…)
外国レシピを実践する時に注意したいこと
外国の計量カップの1カップは日本と異なります。上記のレシピを実際に作る場合はご注意ください。計量スプーンは同じ(らしい)です。
アメリカ–約240~250ml、イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド–約250ml
というわけで換算表へリンク。
アメリカ(USA)規格の計量カップの換算法 レシピ・作り方
アメリカの計量カップ g グラム換算
おまけでこれも
tspとtbspの違いが分かりますか?
英語レシピで使われる料理用語まとめ
原文を参照したい時にご確認ください。
様々なキュケオーンの感想
麦そのままの形で煮るキュケオーンを考えた人もやはりいらっしゃって、こちらのほうが原文に沿った形のような印象があります。
それと同時に、日本人は炒った麦の汁は麦茶として飲み慣れていますが、麦自体の煮汁をドリンクにするという発想はあまりないので、麦汁パージョンは驚きでした。複数のレシピが見つかるということは麦の煮汁は割と知られた飲み物なのかもしれません。

多分これ系の一種
日本だと麦の茹で汁は「味噌汁や煮物に使う」とか「スープの素と具材を入れてスープに」といったものが少し見つかる程度で、冷やしドリンクとしてのレシピは見つけられませんでした。この手の飲み物だと甘酒とか麦茶とかが既にあるので考えが及ばないのかも。
何かレシピがありましたら教えてください。
まだつづく
キュケオンと一口に言っても、粥タイプのものと飲み物タイプのものがあるっぽい…?
★物語・オデュッセイアでキルケーが出した食べ物がワイン・チーズ・大麦・蜂蜜の粥
★ヒポクラテス著の養生法 Ⅱで出てきたのが大麦粉に水やスパイスや蜂蜜を入れた飲み物
同じものを指しているのか、別のレシピのものなのか。そこらは探り出すと果てしなくなりそうなので、とりあえずは置いておこうと思います。
下記の記事を見るに、基本的には大麦を煮出した水が「プティサネー(ptisan)」で、他の具も色々入っていて、ある程度の粘度があって粥状のものが「キュケオン(Kykeon)」という区分のようです。
シェイク・スムージーくらいの粘度でもキュケオン判定だったら、飲み物から皿に盛られたお粥まで幅広い範囲が該当しそうです。
Greek Health Foods – Greek Medicine:
古代ギリシア人には、キュケオン(Kykeon)という飲み物もありました。これは即席の液体食事のようなもので、今日のナチュラルシェイクやスムージーのようなものです。
その基盤は、スープの大麦の粥でした、プティサネー(ptisan/大麦ジュース)と違って、ハーブ、青物野菜、野菜、さらには薬草などの多くのものを追加することができます。
要するに、大麦の粥は他の多くの具を混ぜ込むための媒体として役立つでしょう。
http://www.greekmedicine.net/therapies/Greek_Health_Foods.html
色々と気になる資料が出てきましたが今回はここまで。
[次回予告]
次の記事は「現代の大麦がゆ」を探してみようと思うぞ!小麦粉がゆがあったんだから大麦がゆもきっとあるよね!(死亡フラグ)
(次の記事は7月以降に出せたらいいな)
次の記事の前の閑話休題
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