現地のコシャリに使われているお米は、エジプトで食べられているお米はどんなもの?という疑問に答えるべく我々は現地に飛……べると良いんですが無理なので検索してみました。
基本的には日本のお米にルーツを持つ短粒種が栽培されています。
エジプトで生活している方のブログです。現在のエジプトの米売り場の様子が見られます。
エジプトのお米と今日のわんこ
2015年11月17日
ブログネタが思いつかなかったので、今日はエジプトのお米をご紹介します。
おばさんの家の前のスーパーのお米売り場はこんな感じ。
【エジプト現地情報】エジプトのお米
2017年04月08日
現在のエジプトのお米はこのジャポニカ米を元に改良を重ねたものですが、日本のお米の品種の導入だけではなく、日本の稲作技術や精米処理など、現在のエジプトの稲作は日本の協力によって発展しました。
その結果、現在エジプトではアエーシと呼ばれるパン同様、日本のお米がエジプト人の主食として、エジプト人の食生活には欠かせない存在になったのです。
ちなみにエジプトのスーパーのお米コーナーはこんな感じ。(リンク先に写真あり)
色々なメーカーのお米が売られていますが、全てジャポニカ米です。
周辺の国が長粒種を使う中、ジャポニカ種(中粒で粘り気が多い)が店に並ぶ現在のエジプト。
JICA(ジャイカ)の活動からエジプトの稲作(米の品種)の歴史について読み解いていこうと思います。
JICA – 国際協力機構
https://www.jica.go.jp/
独立行政法人国際協力機構は技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金協力の援助手法を一元的に担う、総合的な政府開発援助(ODA)の実施機関です。
まずは日本のエジプトに対しての経済・文化協力事業全般についてはこちら。農業だけではなく色々なプロジェクトが動いているんですね!
エジプト
JICAは、喫緊の課題である公正な政治・行政運営、人づくり、雇用促進・産業育成の実現に向けて、国家開発計画マスタープランの策定・実施支援や、エジプト日本科学技術大学などへの協力を通じた人材育成、およびカイロ地下鉄四号線第一期整備事業など社会経済インフラの整備に対する支援を行っています。
また、同国が日本との協力で培った経験・知識を活かし、周辺の中東・アフリカ諸国を対象とした研修を同国にて実施しています。
その中で稲作関係について、JICAの活動報告をピックアップしました。
エジプトの米は日本から-エジプトの農業と稲作、日本の協力-(その2)
2008年10月22日
エジプトで栽培されている米の約8割は日本と同じジャポニカ米で、主として国内で消費されています。約2割のインディカ米は主に輸出されています。
エジプトの米は、1917年にYabani(ヤバニ)という品種名の日本のジャポニカ米を元に品種改良が進められました。「ヤバニ」はアラビア語で「日本」 です。中でも、1954年、Yabani M47がNahdaと命名されてエジプト政府の栽培奨励品種となり、約20年間、エジプト稲作の基幹品種となりました。一時は、全作付面積の95%に普及 したほどです。その後、同品種を親として育成されたGiza171及びGiza172が主要品種となっています。この間、外国種と交配し輸出用として長粒品種が数種育成されましたがほとんど普及しませんでした。
1970年代後半、日本から「レイホウ」という品種がGiza173として導入され、1980年 代半ばには作付面積の約4割を占めるまで普及しましたが、1985年に「レイホウ」のみ稲熱(イモチ)病が大発生したため、1986年からエジプト政府が 作付けを禁止しています。それ以降は、イモチ病抵抗性強化が主目標になり、再び長粒品種が作付けされるようになりましたが、エジプト国民には食味の点で好まれていません。
https://www.jica.go.jp/project/egypt/0702252/news/column/081022.html
1986年~2013年の間に何がどうなったのかは資料が見つかりませんでしたが、下の報告を読むにエジプトではその後もコシヒカリの親戚のジャポニカ種が作付けされているようです。
自分以外にもエジプトの米が日本米な理由を探してJICAのHPにたどり着いた後、このイモチ病抵抗性強化はどうなったの?と手かがりが切れている方を散見するので、途中経過についての論文・報告等は日本語では出ていないっぽいです。求む詳細。
とりあえず品種改良を続けて「レイホウ(Giza173)」のあとに(Giza174、Giza175、Giza176を経て?)2012年時点でGiza177まで行ってるのはわかった!経緯や系統は不明ですが、Giza181までは検索に何かしら引っかかるので、品種改良や新しい品種の導入が進んで今に至っているのではないかなと思います。
アフリカの「コメ大陸化」を担うエジプト
2013年11月22日
「コメ大国」エジプトの誕生を後押しした日本のODA
肥沃な土壌、長い日照時間、少ない病害虫など自然環境に恵まれるエジプトでは、19世紀から稲作が盛んだ。1981年には5トン台だった単位面積当たりの コメ収穫量を、2008年には9.7トンに伸ばし、日本の6.4トンを大きく上回る「コメ大国」となった背景には、1980年代からの日本のODAによる 貢献がある。そのためエジプトのスーパーには、コシヒカリと同じイネの品種である「ジャポニカ米」が並ぶ。
アフリカでのコメ生産「倍返し」への道のり
2014年7月23日
JICAエジプト事務所担当者は次のように語っています。「日本はエジプトに対し、コメ関連の技術協力や無償資金協力を実施してきました。その経験 を元に、1987年からサブサハラアフリカ諸国に対し稲作指導をしており、25年間を超える指導実績を積んできました。エジプトは教わる立場から教える立場へと成長し、近年では10t/ha前後の世界でもトップレベルの収穫量を誇るようになりました。現在、研修を受けている国々も将来はエジプトのように成長・発展する可能性があることを自覚し、帰国後もがんばって欲しいと願ってます。」
日本の技術が、いまエジプトからアフリカ大陸に着実な広がりを見せています。
https://www.jica.go.jp/egypt/office/information/event/140723.html
エジプト産「日本米」すし振る舞う 導入100年商談会
2017年3月19日10時05分
エジプトでは1917年に農業省が米国、インド、日本、中国などから250品種の米のサンプルを取り寄せて比較。ジャポニカ米が最も生産性が高く、味が良いと評価されて導入が決まった。
ヤバニ(日本)という品種を元に改良を重ね、「日本米」がエジプトですっかり定着している。
といった経緯のようです。
エジプトでは日本の水稲をルーツに持つ品種がずっと育てられているということがわかりました。なので米については日本のコメをそのままコシャリに使えば良いんじゃないかな!と思います。
JICAではエジプト以外の国でも稲の栽培について農業技術支援をしています。近年ではアフリカの品種と日本の品種を日本の技術でかけ合わせたものを普及させようとがんばっているそうです。
(※アフリカ種と日本種は種類が遠いため、普通に育てただけではかけ合わせられない)
余談ですが、横浜みなとみらい地区、ワールドポーターズ隣にあるJICA横浜国際センター3Fの「港が見えるレストラン Port Terrace Cafe(ポート テラス カフェ)」のグランドメニュー(ディナー)にはコシャリがあります。
今後もチェックしているとコシャリ以外にも気になっている世界の料理が出る日があるかも…?
なおこのお店ではTABLE FOR TWO(自分がごはんを食べることで、物価が安い開発途上国の給食1食分をおごることができるシステム)を実施しています。
関連記事として、おいしいごはんを食べよう県民運動ホームページ(株式会社神戸新聞事業社が運営)http://www.gokumi.com/ より、エジプトのお米の話です。
~エジプト編~ 文明の国のお米はジャポニカ米
今回はエジプトの旅、ナビゲートはエジプトの首都カイロ出身の料理研究家、ジーナさんです。
ジーナさんによれば、エジプト政府が日本のお米の種子をモロヘイヤの種子と交換して入手したという記事が、エジプトの新聞に載っていたそうです。
興味深い話が色々と綴られているので、リンク先の記事おすすめです。
今回の記事のジーナシェフのエジプト料理レッスンはこちらです。関西方面で料理教室を開いているそうです。http://jinahide.blogspot.com/
こちらは日本テレビ ワールド・リポートより
【エジプト】国民食「コシャリ」とエジプト米の秘密
(2008/04/25 OA)
コシャリには米が使われており、日本人にもなじみやすい味だが、実はこのエジプトの米には意外な事実がある。JICA(=国際協力機構)カイロ事務 所の理農業担当・田中理さんが「日本から来たレイホウという品種を親とするエジプト米があるが、もともと日本が起源。それがエジプトの気候に合うというこ とで、市場の7割から8割を占めるようになった」と話すように、エジプトの米のほとんどが日本と同じ、丸く粘り気のあるもの。JICAなど日本の技術支援 もあって、中東では珍しく日本米が定着したというわけだ。
コシャリに使われているのも、もちろん、こうした日本に起源があるジャポニカ米。エジプト人が愛してやまない国民食に、日本との不思議な縁が隠されていることは、あまり知られていない、ちょっと素敵な発見といえるかもしれない。
http://www.news24.jp/blog/ny_townwatch/2008/04/post_142.html
おしえてgooより。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/6874987.html
エジプトのジャポニカ米についてお尋ねします。
質問日時:2011/07/14
今日エジプトではジャポニカ米を栽培し、食事のメニューに含まれているそうですが、エジプト人がこの「ジャポニカ米」を食べ始めたのはいつごろからでしょうか。
★回答日時:2011/07/14 11:42
エジプトは、世界第3位の米輸出国です。
輸出はインディカ種、国内消費はジャポニカ種が主流です。
昔はインディカ種が主流でしたが、二つの世界大戦の戦間期に、人口増加による食糧不足が深刻化したとき、政府主導で反当たり収量の多い日本種の作付けを始めた。それが今日にまで伝わっている。
金持ちは麦のパンを食べ、貧乏人は米を食べると、一時期言われてました。終戦後、日本も米不足で、エジプト米輸入していました。現在でも、北アフリカの邦人ではエジプト米、愛用されています。
★回答日時:2011/07/14 22:41
終戦後配給された小石だらけのエジプト米は”長細い”米で、所謂日本米とは全く違う米でしたね。
まずくて、食べるのに苦労しました。 恐らく、近年日本米を栽培するようになったのではないでしょうか。
★回答日時:2011/07/14 20:01
戦後にJICAが日本のレイホウと言う品種がエジプトの気候に合う事を発見して広がり、
8割が日本種と言う珍しい事になったのです。
最後に、エジプト大使館の「日本食品関連企業とエジプト企業との商談会の開催案内」より
JAPAN FOODBIZ IN EGYPT
また、エジプトは1917年より、日本米の品種を起源とするコメ(ジャポニカ米)を本格的に栽培開始し、2017年に生産100周年を向かえます。
http://www.eg.emb-japan.go.jp/j/culture/event/2015/20170126.htm
上の方の引用でも日本の稲の作付けが始まった時期について触れましたが、今年で100年なんですね。
上は政府機関の資料ですが、エジプトの調理法だとインディカ種の方が適している、好まれているという話(1991年の論文より)を見かけたりも…。
収量が良いことで広まったジャポニカ種ですが、品種改良で味も気に入ってくれているといいなあと思うばかりです。
エジプトの人は自分たちをアジアの一員だと考えていて、日本とはおなじアジアの端同士という意識を持ち親しみを持っているのだそうです。
1917年に日本の品種が選ばれ栽培が始まったとありますが、途中戦争があったため(エジブトの旧宗主国イギリスと日本は対立していた)国交が途絶えた時期もありました。1952年に国交が回復し(1954年、Yabani M47がNahdaと命名されてエジプト政府の栽培奨励品種となり)その後様々な開発援助を行っています。
[参考資料]
[…] コシャリが流行する過程に米の収量アップ(JICAの資料参照)も絡んでいるのではと推測。(1954年にジャポニカ米がエジプト政府の栽培奨励品種となりその後も品種が変わりつつエジプトで […]
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