「エジプト豆」「ガルバンゾ」とも言われるひよこまめ(雛豆・鶏児豆)からは良質なたんぱく質が摂取できます。
紀元前5000年頃のトルコの遺跡から発掘され、原産地は中東と考えられています。西アジアからヨーロッパに渡り、地中海からインド付近の地域で早い時期から人々に好まれていました。
インドを中心に世界各地で栽培されていますが、高温多湿な日本(並びに東南アジアや中国)は栽培に適さなかったため、普及しませんでした。
日本では近年輸入食材として煮豆やあんの材料として広まってきた程度ですが、世界各地では食卓に欠かせないほどの存在感がある豆で、炒り豆、スープ、サラダ、ペースト、煮込み、菓子など様々な料理に利用されます。
「チャナ豆」はインドでの呼び方です。
よく食べられている地域の料理
中近東や地中海沿岸の広い地域で食べられている伝統的な家庭料理、豆ディップのフムス(ハマス・ホモス・フンムス)。
この定番の家庭料理の材料が茹でたヒヨコマメです。
茹でたヒヨコマメを、タヒニ(中東の白ねりごま)、オリーブオイル、レモン汁、にんにく、塩とあわせて、ペースト状にしたものを、パンや野菜につけて食べます。クリーミーで腹持ちがいい料理です。
ディップとして使う以外にも肉や魚のソースにしたり、ドレッシングに入れたり、スープに入れたりと様々なアレンジで使うことが出来ます。
フムスは日本だと中東料理店の定番メニューだったり、ファラフェルサンド(特にヴィーガン・ベジフードを押し出している店で提供される時)に入っていることも多いです。
野菜と香辛料と豆ペーストの素揚げコロッケ、ファラフェルの材料もひよこまめです。地域によってはそらまめと半々で作る場合もあります。
インドでは炒ったヒヨコマメを粉にして菓子を作ったりするそうです。大豆のような香りがするけれど、味は大豆より軽いとか。
ミヤンマーでもヒヨコマメのきな粉は食材として一般的で、麺の汁のとろみ付けに使ったり、茹でてすりつぶしたヒヨコマメをスパイス入りの豆腐の材料にして、その薬味としてきな粉を使うそうです。
南フランスなどでもヒヨコマメの粉を揚げ物の衣に使う料理が残っているそうです。
ペルーではシナモンとクローブで茹でたヒヨコマメを生クリームで煮込んでムースにするお菓子「フレホル・コラーダ」があります。
ヒヨコマメのきな粉は大豆のきな粉より口当たりが軽いそうですが、日本では売られていないのでどんなものなのか気になります。
古代エジプト
古代エジプトでヒヨコ豆は、一部地域で宗教的理由で避けられていた以外は、そらまめ同様人気のある豆でした。
エジプトでは紀元前1400~1100年のパピルスに記述が見られたり、紀元前1400年頃の墓から発掘されていて、少なくとも新王国時代(紀元前1570年頃 ~ 紀元前1070年頃)には広く栽培されていたと考えられています。
良い贈り物としてヒヨコマメが語られれる記述が残されていることから、大変に好まれた食べ物だったのかが伺えます。