キュケオーンが出てくる文献。神話系以外、哲学者の著書など。
キュケオーンについて「神話にしか出てこない食べ物」という説明をしている記事が見られるが「ええー?ほんとにござるかぁ?」という疑問があるのでメモ。
正直この辺は「単語があるから抜き出してるけど、現時点の自分には何を言っているのかよく分からない」というものもあるので本当にメモです…。
養生法 Ⅱ ヒポクラテス著
養生法 Ⅱ ヒポクラテス著
Regimen Ⅱ Hippocrates
※引用NGでリンクはOKとのことなのでリンクURLのみ記載します。
上記の「41.」の項目にキュケオンという飲み物の事が出てきます。
養生法 Ⅱにキュケオンは大麦の粉を使う、とあります。
ヒポクラテスは紀元前460年頃の人物です。(ホメロス「イーリアス」「オデュッセイア」とは3~400年ほど差がある)
ワイド版世界の大思想 第1期〈1〉プラトン
プラトンの著作にもイリアスの一節とキュケオンについて出てくるようです。
プラトンは紀元前427年 – 紀元前347年の哲学者です。
血を吸い出して、その上に鎮痛剤をふりかけぬ(『イリアス』四巻、 二一八行)
だが、しかし何をその後は、飲んだり、食ったりしなければならぬのかを、エウリュピュロスにと同様に命じはしなかった、それもその鎮静剤が負傷前に健康で健康で、規則正しい暮らしをしていた男なら、たとい直ちにキュケオーン(大麦粉と、おろしたチーズとプラムネー酒との混合酒)を飲んだところで、癒やすに足る力をもっていると考えてであるが、しかし生まれつき病身で放縦な者は、彼自身のためにもその他の者たちのためにも、生きていて為になることはない、またその術は彼らのためにある筈のものでも、また彼らを、たといミダス(金持ちで知られたプリュギア王)より金持ちであるにしても、治療してもならない、と彼らが考えた、ということをね
「ワイド版 世界の大思想」一覧リスト
ワイド版 世界の大思想1 プラトン
国家(山本光雄訳)
ソクラテスの弁明(田中美知太郎訳)
クリトン(田中美知太郎訳)https://www.philosophyguides.org/data/great-thought-of-the-world/
どの文献の文章なのかはわからないのですが、イリアスの一節をとって論じている様子が書かれています。その場面でキュケオーンは「滋養のあるもの」として取り上げられ、注釈では「大麦粉と、おろしたチーズとプラムネー酒との混合酒」として説明されています。
ギリシア人への勧告(アレクサンドレイアのクレーメーンス)
これに関しては専門的すぎて素人にはさっぱりわからんので、とりあえずメモ。断片的に残されている文章で、エレウシスの秘儀に関しての内容らしい。
アレクサンドリアのクレメンス 『プロトレプティコス』(『ギリシア人への勧告』)― 全訳 ―
(筑波大学文藝・言語学系 『文藝言語研究. 文藝篇』巻57、2010.03.31)
[メモ]「オjレフェウス断片215」にキュケオンが出てくるらしい
原始キリスト教世界 ギリシア人への勧告(1/ 2)
[ギリシア人への勧告]訳註
「キュケオーン(kukewvn)」 大麦粉とけずったチーズをプラムネー酒〔濃くて渋い赤葡萄酒。イカリア島のプラムネー山に由来〕に混ぜた混合酒。「お粥」というのが最適。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/urchristentum/protreptikos01.html
本文中にキュケオーンという単語が複数回出てくるが、訳注でその内容が説明されている。
どういった理由で(何を参照して)この説明になっているのかよくわからないのでとりあえずはメモ。
(HP読み込んだら分かるかもしれないんだけど膨大すぎて自分には理解がむずかしい)
イカリア島は現在も長寿の島として知られているようだ。デメテル信仰(不死)とも合致する気がしないでもない。
ジャック・リンゼイ『グレコ‐ローマン時代のエジプトにおける錬金術の起源』41
Jack Lindsay, The Origins of Alchemy in Greco-Roman Egypt, London 1970
http://blog.livedoor.jp/yoohashi4/archives/2013-08.html
おそらくこの項目全体でキュケオーンについて説明されていると思うんだけど、書いてあることの意味がさっぱり全くわからないのでブックマーク的なメモ。
秘儀で使われたミント入りキュケオーンのミントには幻覚作用があったのだろうという話が述べられている。
ザクロの実と神々の関係から「デメテル、ヘーラー、アテナがみな、大地と地下の古のひとりの女神であったことを窺わせるに足るものである 。コーレーもまた、たとえエレウシスのものではないにせよ、柘榴とともに描かれた。」という話も述べている。
ホメロスの『デメトラ頌歌』によればそれは大麦と水を「柔らかなクレーロンchleron」と混ぜたものであった。オウィディウスはもっと具体的に、大麦は脱穀する前に煎ったもの、としている。このような穀物は水に漬けるとモルトになり、短期間の醗酵ののち、甘いアルコールとなる。
デメトラ頌歌=デーメーテール讃歌
アリストファネスの『平和』では、ヘルメスはオポラ(果実の豊饒)と結婚せねばならぬトリガイオに、キュケーオンをミントとともに摂るよう薦め、この花嫁が彼を病気にするのではないかと懼れている。
ヘラクレイトスはエフェソスの反逆者たちから忠告を問われ、冷水の入った杯に大麦を混ぜ、それを草の茎でかき混ぜるとすべて飲み干した、という。
喧嘩っ早いヒュッポナテスは自分のポネーリエーつまり悪しき性情と闘うためにキュケーオンをつくろうと大麦のすべてを大声で要求した。
最後の三例は、クレーロンには鎮静作用がある、とみなされていたことを示唆している。
クレーロン、はキュケオンのこと?
◆アリストパネスの「平和」–ポレモス(戦争の神)によって洞窟の奥深くに投げ込まれてしまったエイレーネー(平和の女神)とその侍女オポーラーとテオーラーを、葡萄農夫トリュガイオス等が救い出し、平和を回復するという物語を通して、戦争の悲惨さと平和の尊さを表現している。(wikiより)
◆トリガイオ/トリュガイオス—ペロポネソス戦争当時、長引く戦乱に嫌気がさした農民。戦争を止めるようにゼウスに陳情に行く。
◆ヘラクレイトス— ギリシア人の哲学者
◆ヒュッポナテス—検索だとうまく引っかからないため要確認。ヒポクラテスのこと?ただしこちらはキュケオンではなく大麦湯のプティサネーと言われている。
ヒポクラテスの煎じ薬
麦茶に類似したものについて、古代ギリシアの医聖・ヒポクラテスによる治療法の処方文献に、発疹した患者に発芽した大麦の煎汁を飲用させ排尿量を増やすというものがあった。ギリシア語でプティサーネー(”ptisane”)と呼ばれたこの大麦煎湯は、原液のまま、あるいは稀釈や濾過により飲みやすくしたものが飲用されたという。“ptisane”とは、「ptisane=脱穀」に由来する語である。のちにラテン語の”ptisana”(プティサナ、大麦湯、精白した大麦)となり、フランス語の”tisane”(ティザーヌ、ハーブティー)の語源となった。
ジャック・リンゼイ『グレコ‐ローマン時代のエジプトにおける錬金術の起源』38
Jack Lindsay, The Origins of Alchemy in Greco-Roman Egypt, London 1970
http://blog.livedoor.jp/yoohashi4/archives/53071675.html
chymosはほとんどchylosと同義である。これも植物の液汁を意味するが、動物にも使われ、ついには燕麦の煮汁やら茹でた大麦にすら用いられ、「味」を意味しても使われた。
このHPではキュケオンについてはkで始まる単語を使っているが、cで始まる綴りかたもあったはず、というメモ。