再現料理 昔の料理 調べたこと

「悪魔の糞」という名前の香辛料

投稿日:2018-07-08 更新日:

別名「悪魔の糞」と呼ばれる香辛料が古代の再現料理ではよく出て来ます。今回はそのへんの話を。

 

「アサフェティダ」はオオウイキョウ属の植物、フェルラアサフェティダの樹脂です。

インド食材の店ではヒングhingの名前で売られています。黄色い粉末のものはアサフェティダの樹脂に小麦粉、豆の粉、ターメリックなどが混ぜてあります。
Asafoetida (Hing), Black Mustard and Methi (Funegreek) seeds
アサフェティダの使用量には注意が必要で、入れすぎると不快な味になってしまう、と古代ギリシア・ローマの料理とレシピの著者は述べています。

 

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アサフェティダ Asafoetida のwikiベタ貼り。

インドにおいて香辛料として幅広く用いられる他、ウスターソースの原料としても使われている。強烈な臭気を喩えて、Devil’s dung(悪魔の糞)という呼び名もある。

仏教ではネギ属の多くの植物とともに、五葷のひとつとして食用を禁止している。[6]

https://ja.wikipedia.org/wiki/アサフェティダ

というわけで「臭いが強い香辛料」ということがわかります。

Devil's Dung

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この臭いがネタにされる事が多いですが、加熱すると匂いが変化します。

アサフェティダの特徴
アサフェティダは、原産地で『悪魔の糞』という異名を持つ独特の香りのスパイスです。
ニンニクやドリアン、腐りかけた玉ねぎのような強烈な臭気を発します。

これは、アサフェティダが複数の硫黄化合物を含有しているためです。
そのままでは、苦みと辛味が強く、悪臭のせいで食べることはできませんが、油でアサフェティダを炒めると匂いと苦みが消え、玉ねぎのような香ばしい匂いに変化します。
http://spices-herb-mania.com/spices/01/asafoetida/

アサフェティダ<Asafoetida>

 

 

 

 

 

 

どうやって料理に使うの?

興味はあるものの使い方がわからない人のために、スパイス料理の本をご紹介。インド料理・スバイスの使い方には定評のある香取薫さんの料理本「薫るスパイスレシピ」です。(リンク先に本文試し読みあり) ヒングに限らずスパイス料理本が欲しいかたにオススメです。

薫るスパイスレシピ

この本の最初の「おいしさの幅が広がるスパイス」紹介と、レシピに「ヒーング」が出てきます。少量使うと旨味が出ることと、ガスを抜く効果があるという説明が書かれています。

※ガスを抜く効果 インドの料理では豆が多用されるが、豆には消化吸収できない多糖類が含まれていて、これが腸内細菌を繁殖を助けるためガスを発生させる。豆を食べるときは複数の硫黄化合物を含有するアサフェティダを一緒に摂ることでガスが発生しにくくなる、とインド人はいう。(「香辛料の民族学―カレーの木とワサビの木 (中公新書)」より要約)

 

インド料理で使われるヒングは、スタータースパイス(最初に油を熱し、そこにスパイスを入れて香りや風味を出した後に具材を炒める使い方)や、テンパリング(熱い油にスパイスを入れて作る香り油。仕上げに加える)という、油で加熱する使い方が多いようです。(それ以外にも煮物に加えるレシピもある)

 

薫るスパイスレシピに掲載レシピの「カリフラワーのドライサブジ(シンプルスタイル・ごちそうスタイル)」、でヒーングが使われていますが、他のスパイスが小さじ1-2という単位なのに対して、ヒーングは「耳かき1杯」「少々」、と本当にごく少量が指定されています。この量でも香ばしい風味が出るそうです。初心者はまずはこの程度の「少々」で試すのがよさそうです。

(※香取薫さんの別の料理本「インドのお母さんに学ぶ健康ごはん 毎日ひとさじのクミンで胃腸を元気に! 」にもカリフラワーのサブジのレシピは載っていますが、ヒーングを使うレシピが載っているのは「薫るスパイスレシピ」の方だけです。レシピを知りたい方はご注意ください)

 

少量でも高い香辛料ですが、そもそもの使用量が少しなので、料理1食分の単価で考えると他のスパイスと大差ないのかもしれません。

 

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その他のレシピ

■ヒングを食材に使っているレシピ■

Asafoetida recipes

Indian Spice Asafoetida Recipes | Yummly

教えて!インド人ゴーリーさん家のスパイスカレー【レシピ編】

サンバル (南インドの豆と野菜のカレー)

※上段のティラキタレシピではレシピ提供者によって使用量はまちまち。2番めのBBCは四分の一 ~ 二分の一 tsp(小さじ (5cc))というクミンやターメリック等と同量使うレシピ。3番目のyummlyでは1つまみ~八分の一 tspぐらい。4番めインド人ゴーリーさん家のニンニクカレーでは6人分で小さじ1/2杯。

5番目のスパイシー丸山さんのブログでは別記事「スパイスストーリー ~ヒングの話~」でヒングのことに触れていて、「このヒング、油で熱しても香りが強いスパイスなので、料理で使う場合は、4人前に対して”ひとつまみ”ぐらいで大丈夫です。」と使用量について説明しています。

 

スパイシー丸山さんはインドではヒングとニンニクを一緒に使わない料理が多い(ヒンドゥー教の宗教上の理由)と説明していますが、その上のインド人ゴーリーさん家のスパイスカレーでは普通にニンニクとヒング(アサフェティダ)を一緒に使っていて、やはりインドは一筋縄では行かない…(笑)

 

 

 

 

アサフェティダを非加熱で食べてみたい

先述の通り「加熱すれば良いニオイに変わる」のですが、あえてそのまま料理に使ってみたいという人にはこちら。

チャットマサラというミックススパイスは、基本的には非加熱で生野菜や果物などに振りかけて使います。TVではポテトサラダに振りかけるという食べ方を紹介していたそうです。

その他の使い方の例はこちら 【MDH】 チャットマサラ100g :: Ambikajapan

 


MDH チャットマサラ 100g 1箱 Chunky Chat masala

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見ての通り材料欄の一番最後に「アサフェティダ」が書いてあります。

一番最後ということは一番少量のはずですが、アマゾンレビューを読むと「硫黄のようなにおいが鼻をおそいます」「硫黄がずーっと鼻に残ってしまいます」などの言葉が。おそらく「非加熱で食べる際の期待に沿う」ニオイをしているのだと思います。

アマゾンレビューではこちらを使って玉ねぎのアチャール(っぽいもの)を作っているかたがいらっしゃいます。

買ってみてやっぱりダメだったら、残りは炒めものなど加熱用途で使えば良いと思います。

 

 

 

 

 

再現料理によく出てくるスパイス

このアサフェティダ、「古代ローマ・ギリシャ他(紀元1世紀以前)の再現料理」にはよく名前が出てきます。

といっても当時使われていたのは「アサフェティダ」ではなく「シルフィウム」(ラーセルの根)と呼ばれるハーブでした。

 

現代インド料理では、代用品の「アサフェティダ」は、「少量を最初に熱して風味をつける」など加熱して料理に使っています。またそれ以外にも外国のwikiによると少量のアサフェティダを塩と混ぜて生サラダと一緒に食べることもあるそうです。(先述のチャットマサラなど)

 

どうして今はシルフィウムを使わないのか、それは古代の時点で絶滅してしまった、と考えられているからです。

幻のハーブ サフルーとズルム、シルフィウムについて

薬草や料理で使うほか、避妊薬としても大変な人気だったので、約600年の間キュレネはシルフィウム貿易によって繁栄しました。

しかし、シルフィウムを栽培しようとしてもうまくいかず、野生種のみだったため紀元1世紀ごろには絶滅してしまいます。

古代ギリシャの植物学者で植物学の祖として知られるテオフラストス(BC373年頃~BC287年頃)も、「シルフィウムはなぜか栽培することができなかった」と書いています。

https://www.myherb.jp/main/contents/rilax/silphium.html

古代にはどのように使われていたか、どうして絶滅したかの経緯については上記ページにて詳しいです。

 

キュレネについてwikiより。上記ページでも出典や地図付きで詳しく説明されています。

キュレネ (Cyrene) は、現リビア領内にあった古代ギリシャ都市で、この地方にあった5つのギリシャ都市の中で最大・最重要を誇った。

キュレネの衰退の原因の一つを主要交易品の枯渇に求める説がある。キュレネではシルフィウム(英語版)という薬草が採れ、街の建設以来、主要な輸出品であり続けた。シルフィウムは堕胎薬(英語版)である。キュレネで鋳造された硬貨のほとんどに、図案化されたシルフィウムが描かれている。金と同じ目方で取引されたというキュレネのシルフィウムのことは、ヘロドトスの『歴史』第4巻やプリニウスの『博物誌』に記述され、カトゥッルスの恋愛詩にも歌いこまれているが、紀元1世紀から3世紀ごろの間に採れなくなってしまったものと見られる。その原因は諸説あるが、当時ブリテン島と同じくらい湿潤であったキレナイカが乾燥化したことを示す考古学的証拠が見つかったことから、気候変動によりシルフィウムがキュレネに自生できなくなったとする説がある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/キュレネ

 

シルフィウムの最後の一本は皇帝ネロが食べてしまった(と言い伝えられている)。

絶滅後、代用品として中央アジアの「アサフェティダ」が使われるようになりました。

 

シルフィウムには薬効があると言われていました。

そのためか、現代に伝わっている古代レシピによると、料理に使用する時は加熱して使うだけではなく、生でも使うことがしばしばあったそうです(仕上げにふりかけるなど)。

 

古代料理ではその強いニオイも料理の一部として楽しんでいたようです。

ただしそのニオイを楽しんでいたのは古代の人全員ではなく、国によって反応や使われ方が異なっていたようです。

 

 

アサフェティダ(ヒング)もインドの人みんなが好きというわけではなく、やはり個人で好き嫌いがあるようです。

インド人シェフのブログ インド家庭料理ラニ オーナーシェフ

ヒング

http://blog.chefhariom.com/?eid=1283219

ものすごく臭い粉です。植物の天然樹脂を粉にしたもの。私は臭いが嫌いなので、ギーと同様、ほぼ料理には使いません。

 

 

 

 

参考文献

古代ギリシア・ローマの料理とレシピ

スパイスの人類史

薫るスパイスレシピ

 

香辛料の民族学―カレーの木とワサビの木 (中公新書)

 

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このブログの管理人のすずきです。
エジプトめしについて調べていたらなんだか項目がたくさんになったのでブログにしました。
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